【鬼畜】

98.jpg

もし、老人や障害者などの弱者から金を騙し取り、喜んでいる人を見かけたら、皆さんはどう思うか。
きっと「惨たらしいことするなよ」と大半が凄まじい嫌悪感を抱くだろう。
俺も、他人のそんな外道行為を見れば必ずや気分を害すに違いない。
正直、俺はやんちゃな人間だ。
喧嘩、喝アゲと一通りの悪事は経験してきた。
別に格好付けるわけじゃないが、不良と犯罪の区別はつく、いや、ついていたつもりだった。
ならば、なぜあのような行為が出来たのか、今考えても良くわからない…。
その行為は正に鬼畜だ。
俺はデートクラブで働いていた。
中学を卒業して以来、職を転々とし、初めて長続きした仕事である。俺にとってデートクラブでの仕事は未知の世界だった。
店長は辰吉似の強面で元組員だったが面倒見がよく、二人が兄弟のように仲良くなるのはごく自然の流れだった。

そんな俺達の前にその客が現れた。
ニタニタした頭の弱そうな顔つき、まるでクレヨンしんちゃんだ。以後、客は毎日のように店を訪れる、女の子と食事をするだけで、何もせずに帰っていく、目的は純枠なデート。
何処に金があるのか、こんな野郎見たことがない。
それでも日がたつにつれ、親しい会話を交わすようになった、ある日に冗談のつもりで話掛けた。
「ねえ~10万貸して~ちょっと買いたいものがあるねん」と言うと「ええですよー、ちゃんと返してなぁ」「エ」簡単に金を出した…。

そこで、思い付いたのが、何かを売り付ければ簡単に買うのでは…「今、売れてるアイドル女の子の下着」と名付けて売り付けてみた。
全部で2千円もしない下着に喜んで5万円を差し出したのである、アホや、この客ホンマのアホゃ。
店長に話して一儲けをたくらんだ。

デートクラブは経営不信で開閉することが決まった。
失業後はどうしょうかと思案していた…、あの客から金、取れへんか…、早速、行動に移ることになった。
数日後その客を呼び出して、「儲かります。~そりゃ儲かるって、俺の友人に百万借りたい人がおんねんけど、貸せば十万の儲けになるで…」馬鹿馬鹿しいが、たったこれだけの会話で商談成立。
無論、友人に貸すなど真っ赤な嘘。翌日、その客は何の疑いもなく百万円を持ってきやがった。
10万を利息として渡し、残った90万は当然、俺達がいただく。
まだいけるはずだ。
0万を貰って「儲けた、儲けた」と喜ぶアホ客を見て思った。度を過ぎた気前のよさが、正常な俺たちの感覚を麻痺させた。

完全に歯止めを失った俺たちだった。
「今度は70万の客が付きましたよ」「え、もうお金ないよ」
最初の100万で殆ど無くなったことはしっていた「10日で一割の儲け、サラ金で借り手も損はせぇへんて、やろうや」。
素直な客はサラ金から70万その2日後にはさらに50万を引き出した、いくら大手電機メーカー勤続4年とはいえ、あのアホツラで審査に落とされなかったのは驚きだ。
いくら抜けてるアホ客でも、貸した金のことを忘れてくれる程、甘くはなかった「あの金、どうなったん?」…「あー、俺ら、忙しくて回収でけへんねん、ちょと恐い人やけど、住所ここに書いてるから自分で行ってきて」…。
これで十分だ。1人で回収に行く勇気はこれぽっちもない。

その後、アホ客がどうなったか、俺たちは知らない。
風の便りに耳にしたんだけど、借金取りが会社、実家に取り立てにきたようだ。
結局借金の肩代わりをしたのは父親だった。会社は退職、その後、精神状態は不安定になる…。
時を同じくしてアホにちょっとした変化が現われた。もともとイカレた頭にセックスの快感が火に油を注いだのか、派手に女遊びをするアホ…。
俺の関心はその資金の出所に向いた。ほほー。女を覚えたら、泥棒することまで覚えてきよった、セックスしたさに父親のカードを盗んでくるなんて、ホントウのアホや、しかし、そこが俺らの狙い目だ。
「その金でレディースローンせぇへん」「でも…、又失敗するんちゃう?」「大丈夫やって、女が客やから恐いことあらへんし、もし利息払わんかったら身体で払ってもらえんねんで」…。

翌日、150万を手にし、ニタニタ笑って俺たちを待つ姿があった…。
父がすぐ口座を閉じてしまい、レディースローンはたった1回で終わったが俺たちは止まらない、アホの車をボコボコに壊しては、その修理代を見積もらせ30万余りをピンはねしたのだ。
結局、金戻らず(俺らがいただいた)家にも帰れず車の中で、ボー、っとしていた。
俺たちはアホに1日1回、俺か店長が運ぶコンビニ弁当食べて暮らし続けた。
アホが車生活して一ヵ月くらいが過ぎ、俺たちはかねてから温めていた計画を実行に移した。

まず俺がアホの実家に電話を入れる
「おたくの息子は競馬でエライ負けて、いろんなトコから借金したらしいんてすわ、俺もできれば貸してあげたいんですけど、何しろ額が4百万程あるらしくって」…実家から「あいつはホンマに…。息子から連絡あったら振込み先を聞いといてくれます?」
この言葉を待っていた、こんな簡単にってエエをか。
~「あ、お父さんですか。返済が滞ってて困ってるんですよ。借りたものはちゃんと返してやらな~。〇銀行の〇支店、口座番号は…ここへ入金早急に願います。
¥金は要求通り400万、口座に入ってた、もう、笑いが止まらなかった。狂っていたのはアホ客でも、実家の親父でもなく、多分俺達だった。それから、一ヵ月後に、俺と店長は再び電話で要求に打ってでた。「あ、お父さん…又、借金あるって…。」実家から「…またですか。ホンマにあいつは…。ナンボくらい借りたか言ってました?」「500万って」「5百万?何にそんな金つかいんやろか」「又、競馬らしいですわ。本人は怒られるのが恐くて、父さんに直接言えないって…、俺にはどうすることもできないんで」「いつも迷惑かけてすいません」

$口座番号をその場で伝え待つこと3日、500万、きっかり振込まれた…。
アホは3ヵ月以上の車生活に疲れを出し幻覚状態を起こしていた。俺達は最後の集金を決意した。「あ、お父さん、また借金らしいですわ」「借金?もうどこからも借りられんように全国にストップかけてんけどな」「いや、モグリでやってる金融屋まではストップかけられないでしょう、450万借りたらしいんですわ」「…もうワシ、カネないで…、はー、首つろうかな」「誠意だけでも見せたら少しは負けてくれるんじゃないですか」俺も必死だった‥。
¥要求してから1ヵ月後に300万が振込まれてきた。親戚を駈けずり廻ってやっとカキ集めたからだろう。

親父の手元には一銭も残ってないはずだ。翌日の深夜、アホを車に乗せ、実家付近まで送り届けた。アホは家に帰るとすぐ精神病院に入院した、相当重病だったのだろう。
言い訳がましいが、そこいらのアホだったなら、俺がここまで悪乗りすることはなかっただろう。しかし、だとしたら、この救いのない絶望感をどう説明したらのだ、弱者から徹底的に¥を絞り取ったという鬼畜にも劣る所業、俺はいつかこの親子に殺されるかも…。
不安な毎日が続くそんな心配から親父さんにチョクチョク電話でさぐる

現在俺達は未だに仕事もせず不安定な生活を送っている

風の便りに聞いた…無事退院、元気にやってるらしい

俺達はその親子から容赦なくカネをムシり取った…!
まさに【鬼畜】だ………


1.gif
スポンサーサイト
category
本当の話

Comment